麻疹風疹ワクチンQ&A


平成17年4月1日から麻疹と風疹ワクチンがいっしょになり、MRワクチンとなっています。2回接種です。
注意点は年齢制限があり、1歳から2歳未満と5歳から7歳未満(しかも小学校に上がるまで、)という私達が考えても不自然な方法です。お近くの小児科できちんと説明を受けていただいて、できるだけ早く受けて下さい。

わが国では弱毒生麻しんワクチンは昭和45年から任意接種として導入され,昭和53年からは定期接種に組み込まれ、、現在4種類のワクチンが広く用いられています。
しかし,接種率は75%以下で相変わらず患者の発生は続いており,麻しん流行の制圧にはいまだに十分な効果が得られていません。麻しん患者の大部分は9歳以下で,特に2歳以下の患者が60%を占めています。
麻しんは感染カが強く予防接種率が90%を越えないと流行は止められないといわれており,特に1〜5歳の小児に対するワクチン接種を徹底し少なくとも接種率を90%に高め,これを持続する努力が要望されています。

Q1 麻しんワクチンの接種後に通常認められる副反応にはどのようなものがあるでしょうか。 
 現行のワクチンの中では発熱率の比較的高いワクチンです。ウイルスが体内で増殖する時期(接種5〜14日後)を中心として,約20%に37.5℃以上、数%に38.5℃以上の発熱,10〜20%に麻しん様の発疹が認められることがあります。
発熱の持続期間は通常1〜2日で,発疹は少数の紅斑や丘疹から自然麻しんに近い場合もあります。また,発熱に伴う熱性けいれん(200〜300人に1人)をきたすことがあり,その他,脳炎・脳症(100万人に1人以下),亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の発症(100万人に0.5〜1.0人)が知られています。
ゼラチン等のワクチン添加物により接種直後(30分以内)に接種部分の発赤,腫脹,じんましん,クインケ浮腫,アナフイラキシーショック等のアナフイラキシー症状を呈することがあり,また接種後2〜3日以内に全身,四肢等の一部に発疹を生じることがあります。

Q2 麻しんワクチン接種後に脳炎を起こすことがありますか    
 麻しんワクチンでは・きわめてまれに(100万人接種あたり1人以下)脳炎の発症が報告されていますが,わが国においてはMMRワクチン接種後の脳炎の報告例はありません。
統一株MMRワクチン接種後の後遺症としては,両側性難聴1例,急性小児片麻痺1例が認定されており,後遺症の発症頻度は約50万人に1人と考えられています。なお,接種後の無菌性髄膜炎によるてんかん等の後遺症を残した例は現在のところ報告されていません。
  厚生省結核・感染症対策室長通知(保医感発第49号,H3.6.21)

Q3 卵アレルギーの子供に麻しんワクチンを接種してもよいでしょうか 
麻しんワクチンはきわめて徹量ながらニワトリ胚細胞成分を含んでいます。
鶏卵成分を接種した後のアナフイラキシー反応(じんましん,口腔あるいは咽頭粘膜の腫脹,呼吸困難,低血圧あるいはショック等)の既往のある人は,接種不適当者ですので接種をしないで下さい。アナフィラキシー反応以外のアレルギーの既往の場合は,接種要注意者にあたりますので接種の際は,担当の医師と十分相談のうえ接種して下さい。卵アレルギーで異常反応が出ることはほとんどありませんが、十分に問診をして、皮内反応などのテストをして行うことが可能です。
皮内反応のみで免疫ができることがあります。

Q4 ガンマグロブリン製剤投与後どれくらの間隔をあけて麻しんワクチンを接種したらよいでしょうか。
 接種前3カ月以内に輸血またはガンマグロブリン製剤の投与を受けた人は,3カ月以上接種を延期して下さい。また,ガンマグロブリン製剤の大量療法,すなわち川崎病,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療で200mg/kg以上投与を受けた人は,6カ月以上(麻しん感染の危険性が低い場合は11カ月以上)接種を延期して下さい。
 麻しんワクチン接種後14日以内にガンマグロブリン製剤を投与した場合は,ワクチンの効果が得られないことがありますので,投与後3カ月以上経過した後にワクチンを再接種することをおすすめします。

Q5 麻しんワクチン接種後ときに発熱することもありますが、この場合解熱剤を使用してもよいでしょうか。
 このワクチンは接種して5〜14日(特に7〜12日)後を中心として,約20%に37.5℃以上,数%に38.5℃以上の発熱がみられます。通常1〜2日で平熱に下がります。熱が出てもその割に元気です。発熱した場合は,医師に相談して解熱剤の処方をしてもらって,使用してもかまいません。この際解熱剤は市販のものは使わず必ず医師からもらって下さい。

Q6 現在、兄弟や友人が麻しんにかかっているときの予防接種は、どうすればよいでしょうか。
 今まで麻しんにかかった事のない子供が麻しんにかかっている子供と遊んだり,兄弟のうち1人が麻しんにかかっている時は,麻しんにかかってしまうのが普通です。麻しんにかかっている子供と遊んだ時期がはっきりしている場合は,2日以内に麻しんワクチンを接種しますと発病が抑えられる事があるといわれております。兄弟が麻しんと診断された時にはそれ以前にうつっている事が予測できますので,ワクチンを接種しても間に合わない事があります。このような場合には、ガンマグロブリンを筋注すれば発病を防ぐか,軽症化させる事ができます。
 なお,ウイルス病(麻しん,風しん,おたふくかぜ,水痘など)にかかった後に生ワクチン,あるいは不活化ワクチンを接種する場合にはウイルス病が治ってから1カ月後に行うようにして下さい。

Q7 予防接種をしたにもかかわらず、麻しんにかかることがあると聞きましたがなぜでしょうか。

 麻しんワクチンの接種による抗体陽転率は95〜98%で,接種を受けた児のほとんどが抗体を獲得しますが,数%は抗体ができるに至りません(いわゆるprimary vaccine failure)。
 以前には麻しん,おたふくかぜ,風しん等のウイルス感染痘は1度かかると2度とかからない終生免疫が獲得されると考えられ,生ワクチン接種の場合も同様に免疫は終生続くと考えられていました。しかし,近年,感染を防御できるレベルの抗体が維持されるのは,ワクチン接種後恒久的に野生株と接触しているためという考え方に変わってきています。近年,麻しんの流行が減少して野生ウイルスに接触する機会が少なくなってきましたので,麻しんワクチン接種による免疫が低下して麻しんにかかってしまう例(secondary vaccine failure:SVF)が報告されるようになりました。しかし,その数は少なくこれらを考慮しても麻しんワクチンの有効率は高く90〜95%と考えられます。
    久川浩章他:小児感染免疫、4,113,1992
    中山哲夫他:小児感染免疫、 6,139,1994

Q8 麻疹ワクチン接種を生後12ヶ月から実施した場合、接種した月齢によって抗体獲得率に有意差があるでしょうか。

 生後9〜15ヶ月の接種経験によれば、抗体獲得率に有意差はありませんでした。


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