DPT-IPVワクチンについて/Q&A


DPT-IPV(4種混合)ワクチンについて/Q&A

◎2023年、4種混合のワクチンテトラビックに新たHibワクチンが加えられます。5種類となります。ゴービック水性懸濁シリンジ(田辺三菱製薬)です。

2015年現在DPT(三種混合)ワクチンはポリオワクチンと混合され、4種混合となっています。
諸注意、副反応はそれぞれ参照して下さい。このページでは三種混合の諸注意を掲載しています。

DPT-IPVの接種スケジュール ◎2ヶ月よりできるようになりました。
 初回免疫と追加免疫に分けられ、接種量は1回0.5mlです。
 初回免疫:20日以上(標準的には20〜56日)の間隔を置いて3回接種します。(標準として生後2〜12ヶ月)
 追加免疫:初回免疫終了後、6ヶ月以上の間隔を置いて(標準的には初回免疫終了後12〜18ヶ月の間に)、1回皮下に接種します。

   
1.百日せき、ジフテリア、破傷風について
百日せき(pertusis)
 百日咳菌が産生する毒素によって起こります。
 痙攣性の咳の発作と、咳が続き咳き込んだ後に特徴的な吸気性笛声(てきせい、Whoop:息を吸うときにヒューッという)があり、特に夜間に激しい咳の発作を特徴としています。

ジフテリア(Diphtheria)
 ジフテリア菌が産生する毒素によって起こります。
 鼻ジフテリア:乳児に多く,鼻汁に血液が混じってきます。
 咽頭ジフテリア:一番多い病型で,幼児などがかかりやすく、喉の痛み、元気消失、嘔吐などの症状が主体で、発熱は38℃前後になることがほとんどです。
 喉頭ジフテリア:幼児に多く、しわがれ声、犬の遠吠え様の咳、呼吸困難が特徴です。

破傷風(tetanus)
 破傷風菌が産生する毒素によって起こります。
 神経症状が主に認められます。口唇や手足のしびれ、味覚異常が初期に出現し、その後口を開けにくくなるとか全身けいれんが起こってきます。致命率が高く、自然感染による免疫が成立しません。

2.沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DPTワクチン)
 本剤は,百日せき菌(東浜株)とジフテリア菌及び破傷風菌の産生する毒素をそれぞれホルマリンで無毒化(トキソイド化)し、アルミニウム塩を加えて不溶性としたものです。
百日咳ワクチンはわが国で改良された発熱物質をできるだけ除去した無細胞ワクチン(acellular vaccine)が使用されています。

3.予防接種スケジュール
 初回免疫と追加免疫に分けられます。接種量は,年齢・体重に関係なく1回0.5mLです。初回免疫:3回の接種を3〜8週間の間隔で皮下に接種します。  追加免疫:初回免疫終了後,6カ月以上の間隔をおいて,(標準として12〜18カ月の間に)1回皮下に接種します。

4.DPTワクチンの副反応とその処置方法について
 副反応としては,局所の発赤,腫脹,痺痛,硬結等,また,全身反応として発熱,不機 嫌等を認めることがありますが,いずれも一過性で2〜3日中に消失します。ときに接種 後数日を経過してから局所の発赤,腫脹を認めることもあります。また,本剤はアルミ ニウムを含む沈降ワクチンであるので,小さい硬結が1カ月くらい残存することがあります。2回以上の被接種者には,時に著しい局所反応を呈することがありますが,通常,数日中に消失します。
 通常見られる反応に対する処置として,局所の発赤,腫脹は2〜3日で消失しますが,熱 感,発赤がひどいときには局所の冷湿布を行います。硬結は次第に小さくなります。
 1カ月後でもなお残る場合もありますが,放置しておいてかまいません。
 通常見られない副反応に対する処置として,接種部位を中心に上腕全体,時には前腕にまで及ぶ高度の発赤,腫脹が2〜3日後をピークとしてみられることがありますが,局所の保存的な加療(冷湿布,ステロイドホルモン剤や抗ヒスタミン剤の湿布等)で消退します。これまでの例では局所反応の後遺症は認められていません。局所反応のひどい場合は,接種液に対するアレルギー,過敏症が考えられますので,接種については医師と相談してください。

5.DPTワクチン接種後の経過について
 予防接種を受けた子供の百日せきの家族内続発状況を調べた成績によりますと,予防接種を受けなかった人では80%以上の人が感染発病していますが,DPTワクチンを2回以上接種した人では,わずかに3.5%の罹患率を示し,予防接種の有効性が明らかにされています。
  厚生省予防接種研究班報告書:110 1992

Q1 DPT接種対象年齢について教えて下さい。
 DPTワクチンは,小児の基本的なワクチンです。DPTの接種の1期の初回接種は3〜8週間間隔で3回接種します。接種対象年齢は生後3〜90カ月(7歳半)までで,小学校に入学してからも定期接種として受けることができます。DPTワクチン1期の追加接種は初回接種終了後6カ月以上の間隔があればよいことになっています。標準的には,初回接種3回終了後12〜18カ月です。通常,2期にはDTトキソイドが用いられ,接種は11歳ないし12歳で行われます。下表をご参照下さい。

定期予防接種の種類と接種対象年齢,回数,間隔(予防接種法)
DPT1期  初回接種の標準は3〜12月、回数は 3回 間隔は 3〜8週 追加接種は,初回接種終了後6カ月以上の間隔をおいて接種(標準は初回接種終了後12〜18カ月)にて1回DT2期  11・12歳(標準は小学校6年生)にて 1回

Q2 過去に百日せき既往のある人又は羅患の有無がはっきりしない人に対するDPTの接種はどのようにすればよいでしょうか。
 明らかに百日咳に罹患した人,あるいは百日せきに対する血清抗体が証明された人は,DPTではなく,DTを用いてジフテリアと破傷風の免疫をつけることが望まれます。
 百日せきの罹患の有無がはっきりしない場合についてはDPTを用いて規定通りの接種を行って下さい。

Q3 DPTの1期1回目接種後、2回目の接種時期が規定の3〜8週を超えてしまいました。2回目以降の接種はどのようにすればよいのでしょうか。また1期1回目接種後1年以上経っているときはどうしたらよいでしょうか。
 第1期初回接種を確実に行い,基礎免疫を付けておくことが大切です。
 スケジュールどおり受けていない場合でも,はじめからやり直すことはせず,規定の回数を超えないように接種します。例えば,第1期初回接種の1回目と2回目の間隔が8週を超えた場合でも,2回目と3回目を3〜8週間隔で接種すれば,第1期初回接種を終了したものと考えます。2回目と3回目との間隔が8週を超えた場合には,その間隔が6カ月未満であればそのまま3回目を接種し,6カ月以上の間隔であれば3回目は行わず第1期追加接種を行います。第1期追加接種は,第1期初回接種後12〜18カ月の間に行うことが望まれます。18カ月以上経過した場合には,できるだけ早く追加接種を行うことが望まれます。
   予防接種ガイドライン:16,1996

Q4 DPTワクチンは予防接種法で3カ月から実施でき、できるだけ早く実施するようにすすめられているのはなぜでしょうか。
 百日せきは,乳幼期に罹患すると重篤となり,肺炎や脳症を併発する致命的な病気です。母子免疫はほとんど期待できないので乳児期から罹患します。このため乳児期から免疫を賦与することが望まれ,接種は生後3カ月になったらできるだけ早く開始するのがよいでしょう。
   木村三生夫他:予防接種の手びき第7版,98,1996

Q5 DPTの1期初回の3回接種は終了していますが、1期追加を規定より早く受けた場合の効果はどうでしょうか。
 一般的に,1期の追加はブースター効果を期待するものですから,少なくとも6カ月以上は期間をあけます。

Q6 DPT及びDTで規定通り接種ができなくて90カ月を越えた場合はどのようにすればよいでしょうか。
 規定通りできない場合には下記のことが考えられます。ワクチンはDTの接種を行いますが,この場合は任意接種となります。

1)第1期を全く行っていない場合
2)第1期初回1回のみ接種してある場合
3)第1期初回2回接種してある場合
4)第1期初回3回接種してあるが追加接種を行っていない場合
 1,2,3,ともに沈降DTを1回0.5mLずつ3〜8週間隔で2回接種,液状DTを用いる場合は1回0.5mLずつ3〜8週間隔で3回接種します。
 4は,基礎免疫は出来ているとして,2期としてDTを0.1mLを1回接種します。

Q7 90カ月以上になった小児に対するDPTの接種はどのようにしたらよいでしょ うか。
 百日せきは数週間に及ぶ頑固な咳のため,年長児にとっても厄介な病気です。満1歳以下の致命率の高い疾患です。百日せきは90カ月を過ぎても罹患しますが,生命に対する危険性はほとんどありません。
DTを用いてジフテリアと破傷風の免疫を付けておくことが大切ですのでそれをまず考えますが,希望により百日せき(P)を含むDPTの接種を行います。
   海老沢功:日本医事新報、3199、131、1985

Q8 乳児期に外傷のため沈降破傷風トキソイドの接種を受けました。DPTの定期接種はどのようにすればよいでしょうか。
 このような場合にDPTを規定通りに接種すると,破傷風に対する免疫は過剰になることが考えられます。
 沈降Tの3回接種が済んでいる場合はDPTを3〜8週の間隔をおいて2回,2回接種が済んでいる場合には2〜3回,1回だけの接種の場合には3回接種することがよいとされています。DPTは生後3カ月になったら,できるだけ早く受けて下さい。
   海老沢功:日本医事新報、3079、138、1983

Q9 DPTは1回ごとに腕を変えて、接種した方がよいのはなぜでしょうか。
  DPTワクチン接種後には,アルミゲルアジュバントが局所に溜り,小さい硬結が1カ月ぐらい残存することがあります。ワクチンは3〜8週間間隔で接種を受けるので,まだ硬結が残っている場合があります。乳幼児の腕は細く,硬結を避けて接種しづらいので,前回と反対側の腕に受けて下さい。同一部位に接種すると、副反応の相加が認められるかもしれないので,硬結がなくても,交互に接種することが望まれます。
   M.Kimura、et al:Act. Paediatrica, Japonica.,37,562,1995

Q10 接種した部位を揉んだ方が良いのですか。揉まなくてもよいのでしょうか。
 最近はもまなくても良くなっています。効果にかわりはありません。

Q11 かつての三種混合ワクチンを接種する際に減量して行われることがありましたが,DPTを接種するときにも同様な処置が必要でしょうか。
 接種量は規定(0.5mL)どおり接種することが原則です。かつての三種混合ワクチンについては不規則な接種が行われていたことは事実ですが,この方式は止むを得ずとられていた処置です。現在の沈降精製DPTについては減量接種の必要はないものと考えられます。1回目,2回目の局所反応がきわめて強かった時だけ,医師の判断で0.3Lあるいは0.2mLに減量して接種することになります。

Q12 乳児期にDPTまたはDTの接種を受けていない場合、破傷風の予防接種はどのようにすればよいでしょうか
 このような破傷風に対する免疫が全くない人は積極的に破傷風の予防接種を受けるべきです。通常,初回免疫として沈降Tを0.5mL 2回,3〜8週の間隔で皮下に接種します。標準として6〜18カ月の間に0.5mLl回追加接種を行い基礎免疫を完了します。その後は抗体産生に対する個人差も考慮して4〜5年毎に1回追加接種を行います。新生児破傷風や産褥性破傷風の予防のために妊娠後期(6カ月前後)に沈降Tを4週以上の間隔を置いて2回接種することもできます。
   海老沢功:日本医事新報、3483、1331、1991

Q13 DTの使い方を教えて下さい。
DTには,液状と沈降型がありましたが、現在は沈降型のみです。百日せき既往者やDPTの2期にジフテリア,破傷風の免疫を与えるために用いられます。
  1期     3〜90ヶ月 3〜8週間隔    0.5ml 2回
  1期追加  1期後12〜18ヶ月の間     0.5ml 1回
  2期     11〜12歳             0.1ml 1回

Q14 DTの2期で接種量を0.1mLに減量する理由について教えて下さい。
 10歳以上の人にジフテリアトキソイドを注射すると,ときに激しい局所反応や全身反応などを起こすことがあります。これをモロニー反応と呼んでいます。これはジフテリアトキソイドに含まれる菌体成分などによるアレルギー反応であって,年長になるほど強くなります。このアレルギー反応はどうして起こってくるかはっきりしていません。ジフテリア罹患後は特に強くなりますが,ジフテリアにかからなくてもそういう状態が起きることがあります。このため,2期のDTは0.1mLに減量しています。

Q15 DTの2期あるいは成人にジフテリアトキソイドを接種する場合の注意を教えてください。
 2期の接種対象者は12歳に達する日の属する年度の人となっています。10歳以上の人にジフテリアトキソイドを接種しますと,ときにはげしい局所反応や全身反応などを起こすことがあります。これはジフテリアトキソイドやそれに含まれる菌体成分によるアレルギー反応で,年長になるほど強くなります。
成人用沈降ジフテリアトキソイドはほとんど純粋に近い結晶状のジフテリアトキソイドにアルミニウム塩を加えて吸着させたものですからそのアレルギー反応も少なく,10歳以上の人への接種に0.5mLを接種します,また,モロニー反応陽性者にも用いることができます。ただし,この場合は任意接種の扱いとなります。

Q16 破傷風トキソイドを追加接種に使う場合はどうすればよいでしょうか。
 既に基礎免疫が済んでいる場合には1回の追加接種によって血中抗体価は容易に最小発病防止水準を越え,少なくとも5〜6年は持続することが明らかにされています。破傷風の免疫については最後の予防接種から少なくとも20年は免疫記憶があることが明らかにされていますが,4〜5年に1回追加接種を受けるように心掛け,血中抗体価が確実に発病阻止水準を維持するようにしておくことが望まれます。

Q17 ジフテリア及び破傷風の2期接種前に交通事故で破傷風の予防接種を受けました。2期の予防接種はどのようにしたらよいでしょうか。
 DTの2期接種は予防接種法で定める最後の追加接種であり,ジフテリアの予防としても重要です。今回のケースでも,破傷風トキソイド(0.5mL)接種後1週間以上の間隔をあければ2期接種(0.1mL)を受けることが可能です。ただし,この場合は破傷風トキソイドの過剰免疫による局所反応等の副反応に留意する必要があります。

Q18 小学6年生でDTの2期の予防接種を受けられず中学生になってしまいました。DTと成人用ジフテリアトキソイド及び破傷風トキソイドそれぞれ単味ワクチンのどちらを使用すべきでしょうか。
DT及び単味トキソイドも有効な免疫効果が得られますが,接種回数を考慮すれば,DTを0.1ml1回接種することをおすすめします。


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