カリシウイルス(ノロウイルス)感染症


カリシウイルス(ノロウイルス)感染症とは
カリシウイルスは急性胃腸炎をおこすウイルスです。乳幼児嘔吐下痢症、感染性胃腸炎の原因として、近年クローズアップされてきました。ノンエンベロープRNAウイルスで、人に感染するのはノロウイルス、サッポロ様カリシウイルスです。

症状
下痢、嘔吐、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛などがあり、腹部けいれんを伴なうことがあります。

感染
糞口感染による、ヒトーヒト感染や汚染されたたべものや飲み物から感染します。感染している食品関係者によって汚染された水、貝、カキ、サラダ、果物などです。潜伏期12〜72時間。
ウイルスの排出は発症後、5〜7日続きますが、2週間程度続く人もいます。
幼児から成人まで幅広く、しばしば保育施設などで集団発生を起こします。

治療
(嘔吐下痢症の治療内容と同じです。)
嘔吐する時間は数時間から約一日程度です。必ず止まってきます。嘔吐止めを使用し嘔吐が止まるのを待ちます。この間、水分も与えません。絶食が最もよいのです。(この時期は与えても吐くだけですから。)吐き気が止まり、飲めそうになったらスプーンで小量ずつ、お茶、アクアライト、ポカリスエット、塩分で味付けしたコンソメスープ、あめゆなどを交互に与えます。みかんやリンゴのしぼり汁もよいでしょう。これで嘔吐がなければこれからどんどん吐くということはなくなります。こうすれば脱水症を防ぐことができます。
しかし、吐き続けたり、下痢がひどくほとんど水分も十分に取れない場合には点滴をします。ほとんどの場合200〜500ccほどの点滴で良くなりますが、ひどい場合は入院が必要になることもあります。
逆に嘔吐もなく、下痢もなく、普通の硬さで便が白くなるだけのこともありますが、この場合はほとんど治療は必要ありません。

食事の与え方
 嘔吐が止まり、下痢の回数が減り、水様から泥状へと便性が好転するにつれて、うすめたミルク、重湯、三分がゆ、ポタージュも与えることができます。
 便と同じ軟らかさのものをたべさせるとよいでしょう。
 おかゆ、白身の魚、よく煮たうどん、軟らかい食パンなどよいでしょう。

《食べていけないもの》
 乳製品、冷たいもの、油もの、糖分の多いもの、生野菜など繊維の多いもの
 卵や豆腐などは便が固くなれば与えてよろしい。
◎下痢が治まると、すぐに体重は回復します。栄養は控え目でも早く下痢をなおすようにしましょう。下痢が長びくときは乳糖不耐症のことがありますのでご相談ください。

おふろ
下痢がひどく、元気のないときだけ中止します。おしりはお湯でよく洗ってやります。

その他の注意点
@便を扱った手から感染しますので、おかあさんも子どもも頻回に手を洗ってください。特に食事の前、便を処理した後などはきちんと何回も石けんと流水で手をしっかり洗いましょう。
A乳児で嘔吐が頻回でおなかが痛そうに泣くときには腸重積のことがありますので、素早く診察を受けましょう。
B予防という点では母乳で育てた子どもの方がひどくなりにくい傾向があります。

集団における感染防止:看護提供者、食品取り扱い者の教育。環境外面や食料準備室を清潔に保ちましょう。十分な手洗いを行い、下痢をしている子どもと、便がよくなった病児の便の処置をした後は十分な手荒いと管理をしましょう。

幼稚園、保育園、学校
基本的に下痢をしてる場合は休みますが、おむつのケアがきちんとできる場合は下痢をしていても通園できます。この場合、おむつの処理をする人がよく手洗いをすることが大切です。
トイレできちんと処理できる子は通園、通学はかまいません。
(文献:35)

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