β2ミクログロブリン


β2ミクログロブリンとは
β2ミクログロブリンはHLAclass1を構成する蛋白である。あらゆる細胞で産生されるが、血中のβ2ミクログロブリンは主としてリンパ系組織に由来する。
β2ミクログロブリンは腎糸球体で濾過された後、主として近位尿細管でその99.9%が再吸収され、残りが尿中に排泄されるため、正常では尿中には<200μg/gCrea程度しか排出されない。尿細管傷害により再吸収能が低下したとき、尿中の排泄が増加する。急性の尿細管傷害、慢性の間質性腎炎のいずれかでも異常値を示す。

血中β2ミクログロブリンレベルは細胞からの産生と尿中への排泄のバランスによって一定に保たれている(0.5〜3mg/l)。
慢性炎症性疾患、ウイルス感染、リンパ系腫瘍などリンパ球が活性化し、β2ミクログロブリンの産生が高まるような病態において、血中濃度は上昇する。炎症性サイトカインにより、HLAclass1抗原の発現が高まると、class1分子関連蛋白である、β2ミクログロブリン分子の転写が高まり、結果として血中に放出される。インターフェロン-γはHLAの発現誘導が強い。
血中β2ミクログロブリン濃度が尿細管での再吸収閾値(約4mg/l)を上回ると尿中への排泄は増加する。代表的な疾患である血球貪食症候群では血中β2ミクログロブリンは正常の2〜10倍、尿中β2ミクログロブリンは正常の400〜2000倍にも上昇すると報告されている。ただし、過剰なサイトカインは腎機能にも影響するとの報告もある。すなわち、血中β2ミクログロブリンの上昇はインターフェロン-γを中心とした炎症性サイトカインによりマクロファージが活性化したことを反映し、尿中β2ミクログロブリンの上昇はマクロファージの活性化を反映するが、腎尿細管傷害の影響も受けることが考えられる。また、β2ミクログロブリンは酸性尿での分解速度が速いので、測定に関してはphが6.0以上であることに留意する必要がある。
(文献 46)

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