ナダル


3人のトップテニス選手はいつまで

昨年までロジャー・フェデラー(40歳)、ラファエル・ナダル(36歳)、ノバク・ジョコビッチ(35歳)の3人が20回の優勝でトップとして並んでいた。
1年間に最も大きな大会であるグランドスラムは全豪、全仏、全英、全米の4回あり、16年間でほとんどを3人が優勝していた。20年前に比べるとラケットが大きく、柔軟性、形状が良くなり、ラケットの回転スピードが極めて速くなることにより、ボールのスピードが非常に速くなっている。年齢が上がると対応していくのが大変だが、この3人は未だにトップを走っている。 ナダルはスペイン出身で、最初から全仏オープンでは断然強く、現在までに13回も優勝した。全仏は赤いレンガを潰したクレーコートで、高くはねて球速が遅く、ラリーの回数が多くなる。速いサーブも効果が出にくく、絶対的に体力が必要である。フェデラーはクレーコートが不得意だったが、1回だけ勝てた。幸運にもナダルが珍しく決勝前に負けた年だった。ナダルは若い頃、とにかく打ち続け、ひたすら走ってボールを返すという選手だった。相手よりは1球多く打つという典型的なパターンだった。初めはあまり背も高くなく、サーブも速くはなかった。クレーコートだけの選手と考えていたが、甘かった。2008年にフェデラーが最も得意で、圧倒的に強かった全英オープン、ウインブルドンでそのフェデラーに決勝戦4時間45分かけて勝った。驚嘆と残念な気持ちでがっかりしてしまった。芝生のコートではフェデラーに絶対勝てないと思っていたから。芝生コートは滑ってはねないのでネットが得意な選手が有利である。ナダルは返すだけではなく、ネットに出られたときのパスの素晴らしさ、エースもたくさん打ち込んだ。見方が変わってしまった。それ以後、フェデラーとの試合を積極的には見えなくなり、ビデオを撮って勝った時だけ見た。ナダルより1歳若いジョコビッチはその後から出てきたが、確実に強くなり、フェデラーはピークを越え、さらに勝てなくなっていった。それでも2018年全豪オープンでフェデラーは36歳で20回目の優勝回数がトップになった。しかし昨年ナダルとジョコビッチがあっというまに回数で並んだ。ほかの若い20代の選手達がこの3人にほとんど勝てないためだ。以前はテニス選手が30歳を超えるとグランドスラムで優勝することは非常に難しかった。非常に強い体力と精神力が必要で長い場合は5時間前後を戦う。少しずつ休みの時間があるが、5時間を超える戦いでは1時間半以上は全力でダッシュしている。特にクレーコートなどでは1ポイントを取るために30秒以上打ち合いをすることもある。 ナダルはサーブの時に定型的な長い準備動作をする。体が大きくなり、筋肉が信じられない程太く強力になった。普通の鍛え方ではないだろう。サーブも速くなった。 今年1月全豪オープンにて決勝に出た。全豪では一度のみ優勝。ここで8回勝利しているジョコビッチがコロナ関連問題で出なかったのでチャンスだった。相手はロシアのメドベージェフ。非常にミスが少なく、強烈なサーブ、ストロークで昨年全米での初優勝で、ランキング1位となった選手だ。これからのこの3人の後に優勝を重ねる選手と思われた。見た感じはおとなしそうだが、スイングが不思議な感じで安定感があり強い。ジョコビッチの戦い方に似ている。ナダルは最初から汗が滝のように落ち、コート関係者がコートを頻繁に拭いた。敗戦かなと期待してしまった。ナダルは最初の2セットにてメドベージェフのショットに負け、競っていたが、ミスもあり0-2となった。厳しい状況だが、このまま絶対に終わらないと思っていた。汗も落ち着き、第3、4セットの苦しい状態からガンガン動いて、厳しい攻めを受けた後の反応がエースを取る素晴らしいショットを打ち続け、2-2となった。最後の第5セットはさらに元気になり堅いハードコートを走りまくった。5時間54分、すさまじい状況だった。若いメドベージェフは疲れとうんざり感が一瞬見られ、苦しさを感じた。危ないな、と思った。やはり最後にナダルのショットが決まった。21回目のグランドスラム優勝。優勝してほしくはなかったのだけれど、初めてナダルに感動した。彼のすごさは言葉では表現できない。 今年5〜6月の全仏オープンでは、準々決勝でジョコビッチと戦った。ジョコビッチは以前のパターンと違う、強いショットを優先して攻撃した。激しい戦いだったが、なぜかミスが大切なところで続いて、ナダルが3-1で勝った。ナダルが負けそうな感じがしていたが、ジョコビッチは少し苦しそうな雰囲気があった。流れが良くなかったのだろう。対戦成績はナダルから見て29勝30敗となった。36歳の誕生日に準決勝で第3シートのズベレフと対戦。1セットが1時間半かかる対戦でズベレフは激しく正確なショットで非常に強くなっていて、勝てるかもしれないと思ったが、2セットの終わりに足首の靱帯損傷を起こし、棄権した。ナダルとしては幸運だったかも。決勝は第8シード、ルード・カスパーに6ゲームしか取られない完璧な勝利で22回目の優勝を獲得した。カスパーは全く歯が立たなかった。 さて、僕はフェデラーが大好きで、テニスのスタイルは最高だと思っている。2004年から207年の4年間で11回優勝している。この間1年間に4つ連続で勝つ年間グランドスラム達成はいつもナダルに止められた。現在40歳なのでこれから優勝する可能性はほとんどない。すべてのショットは完璧で、格好良すぎるのだが、シングルのバックハンドはすごいエースが出るが、時々ミスが出てくる。ナダルやジョコビッチに比べると守備面で安定感が少しだけ落ちる。やはりバックは両手のストロークが確実で強い。ナダルとの試合で強烈なショットで攻撃しても、ナダルの予測が素晴らしくどんなところからでも逆襲するのである。ネットに出て勝負をするのが得意だったが、攻め込んでもパスでやられてしまうことが多い。また、ジョコビッチは守備が完璧で、攻撃ショットが速くなり、ミスが少なく、テクニックが本当に素晴らしい。2016年キャリアグランドスラム,1年のすべてのグランドスラムを勝った。 誰がこの3人をストップできるか。若者で期待できるのが19歳のスペイン人、カルロス・アルカラスである。しかし、今年全仏で25歳の第3シートのアレクサンダーズベレフに負けた。 ところで錦織圭は2014年全米オープンにて準決勝で激しい試合をしてジョコビッチに勝った。優勝する可能性が1度だけあった。決勝の相手はマリン・チリッチ。錦織は決勝ではリズムが悪く、ジョコビッチに勝ったその力が出せなかった。 さて、フェデラーは史上最高選手と言われ、生涯獲得賞金は133億円。ちなみに昨年のスポーツ選手の年収がフェデラーは99億円で5位、1位はサッカー選手リオネル・メッシ134億円、2位は同選手クリスチアーノ・ロナウド114億円。2年前にはフェデラーが146億円で1位だった。フェデラーの収入の90%はスポンサー契約料金で、賞金は少ないが、人気は圧倒的だ。ちなみにナダルは昨年度37億円、ジョコビッチは53億、そしてなんと錦織は39億で88%はスポンサー契約だった。 ナダルはサッカー選手になる可能性もあったが、叔父の勧めでテニス選手になった。サッカー選手になっていてもトップクラスになっているだろう。ジョコビッチの父親は優れたサッカー選手だった。遺伝子がすごい。6月ジョコビッチは全仏で負けたが、激しい意識を持っていてトップになりそうな気がする。
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