神経線維腫症(フォン・レックリングハウゼン病)


常染色体優性遺伝で起こる病気です。50%は突然変異でおこります。頻度は2500〜3000人に一人です。

症状
1)皮膚症状
色素斑 褐色の斑が出現します。大きいものと小さいものがあります。大きいものは手のひら大までくらいになり、皮膚表面より盛り上がることはなく、全身に不規則に出てきます。ミルクコーヒー色のためカフェオーレスポットと呼ばれます。
大部分は5歳以上で発症します。小さい斑のものは小豆よりも小さく、少し濃く、顔や体によく出てきます。
腫瘤
児童期から思春期にかけて、2ミリから6センチくらいまでの丸く隆起した神経線維腫が出現します。
貧血性母斑
胸の上の方に見られます。

2)骨変化
側弯、後弯などの脊柱の異常、四肢骨、胸椎の変化などが見られることがあります。

3)神経症状
小児では視神経膠腫という良性の腫瘍ができることがあります。その他、聴神経腫瘍、髄膜腫が見られます。
知能は正常ですが、10〜24%に軽〜中等度精神遅滞、8〜13%にけいれん発作が見られます。

診断
直径1.5cm以上の斑が6個以上見られたらこの病気が疑われます。これに神経線維腫症があればこの病気と診断されます。

治療
対症療法が主体ですが、腫瘍が急速に大きくなるなど悪性化が疑われるようなら切除します。四肢などの末梢の神経線維腫症には形成外科的に除去することがあります。

(補)診断基準
以下の2項目以上を満たすもの
1)思春期前の児では、最大直径が5mmを越え、思春期後の児では最大直径が15mmを越える6個以上のカフェオレ斑がある。
2)病型は問わず2個以上の神経線維腫がある。
3)腋窩またはソケイ部にそばかす様の褐色斑が見られる。
4)視神経膠腫がある。

5)2個以上のLisch結節(虹彩過誤腫)がある。
6)蝶形骨形成異常か腸管骨の皮質ひ薄化を示す明らかな骨病変。偽関節はあってもなくても良い。
7)一親等の家族(親、同胞または子)に上記を満たす神経線維腫症がある。
(文献 20 652ページ)
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