足白癬


足にできる水虫で代表される皮膚真菌症です。

原因
 通常は糸状菌、特に白癬菌が原因真菌です。

症状
@小水疱型
 足底にケシ粒大から粟粒大程の小さな水疱が散在または集簇して出現してきます。膿疱が混じったり、その皮が剥げてびらんになったり、乾燥して落屑となったりと、多彩な症状を呈します。
A趾間型
 最も多く見られ、趾間に麟屑を伴った紅斑またはびらんを呈します。じくじくと湿って、パクッと割れて亀裂を形成することがあります。趾間がぴったりと接触していると生じやすく、第4趾間は好発部位です。
 この趾間型白癬から細菌性二次感染を併発し、蜂窩織炎やリンパ管炎を起こすことがあります。
B角質増殖型
 足底の角層が固く肥厚して、カサカサになります。時にはヒビ・亀裂などで、歩行時に疼痛を訴えます。
 これらのどのタイプもかゆみがある場合とかゆみがない場合もあります。「水虫だからかゆい」とはいえないのです。
 鑑別診断として、足の湿疹、ズック靴皮膚炎、汗疱、掌蹠膿疱症などがあります。

診断
病変部の麟屑を削り取りKOH液で処理し、顕微鏡白癬菌の有無を確認します。菌種の同定には培養が必要です。

治療
抗真菌剤のクリームの外用を行います。1日1回 イミダゾール系を主として使用します。白癬やカンジダなど浅在性真菌症に有効です。
  内服療法
皮膚への移行性と貯留、抗菌力などが優れているテルビナフィン(ラミシール)、イトラコナゾール(イトリゾール)が主になっています。
特に角質増殖型白癬は抗真菌薬の外用では十分な治療効果が得られず、内服療法をした方がいいのです。

爪白癬
 爪白癬は小児は多くはありません。爪を削って診断します。塗り薬では効果が期待できません。内服療法が必要です。テルビナフィンは小児の内服できる粉がなく、錠剤も大きめで小児には使いにくいです。
 イトラコナゾールは少し小さな錠剤50mgがあるので使用できます。3ヶ月間内服を続けます。子どもの場合はほとんどが父親、祖父などの足白癬から感染していると考えられます。
※イミダゾール系:エコナゾール硝酸塩製剤(パラベールクリーム、ローション)、ミコナゾール塩酸塩(ミコナゾール ミコナゾール、フロリード フロリードゲル経口用2%:口腔内カンジダ症に使用))、ケトコナゾール(ニゾラール)、クロトリマゾール(エンペシド)
※テルビナフィン塩酸塩クリーム:ラミシール
※テルビナフィンでは肝機能異常やもの凄くまれですが、横紋筋融解症などがあります。

その他の注意事項
◎抗真菌薬を根気よく丁寧に外用しましょう。1日1回きちんと塗ります。一見良くなったように見えてもさらに1〜2ヶ月続けます。
◎足をよく洗いましょう。指の間も丁寧に洗いましょう。よく乾かします。蒸れると良くないので靴下も通過性の良い物にして、靴も蒸れない物にしましょう。五本趾(五本指)の木綿の靴下も良いです。
◎家庭内や周囲にはまき散らさないように、履き物やスリッパ、入浴後のあしふきマットは共有せず、各々別の物を使用しましょう。湿った状態ではより感染しやすくなります。
清潔に、乾燥させておくことが予防に重要な条件です。直接身につける衣服もまめに洗濯してよく乾燥させることが重要です。

体幹白癬
中心治癒傾向のある境界鮮明な環状ないし、連圏状の紅斑で、片縁に小水疱、丘疹、鱗屑を認めます。ステロイド剤の外用が誘因となり、アトピー性皮膚炎などの湿疹病変に合併することがあります。
頭部白癬の頻度は低いのですが、高齢者とともに小児にも生じやすいです。
重症例では鱗屑や痂皮の付着した膿疱、小結節が集簇する腫瘤状局面(Celusus 禿瘡(トクソウ))を呈します。
(文献 66)

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