サルモネラ腸炎


 腸チフス菌以外のサルモネラ菌によって起こる腸炎です。サルモネラ菌は現在1500種以上あるといわれ、輸入食品や輸入家畜飼料の増加や、海外旅行者が外国で感染して持ち帰るなど今までは日本であまりみられなかったタイプも増えています。感染はサルモネラ菌に汚染された食品を食べることによっておこります。
サルモネラ菌は我々の回りにいる多くの動物(イヌ、ネコ、ニワトリ、ウマ、その他家畜、ネズミ、亀など)が保有しており、これらの動物の排泄物で汚染された食品、あるいは飲料水が感染源になります。現在、生卵が汚染されていて(生卵の中に生きた菌がいるということ)これを食べることで感染することがかなり多いといわれています。潜伏期間は8〜48時間です。

症状と経過
発熱、腹痛、嘔吐、下痢です。下痢には粘液,膿、血液が混じることがあります。
発熱は高いこともあり、あまりでないこともあります。
腹痛はかなり強いことが多く、下痢も非常に回数が多くなることがあります。
1週間ほどで、主要症状はとれ、次第に良くなります。

診断
便の中の菌を培養して調べ、サルモネラ菌が検出されれば確定します。

治療
最初に症状が強い場合は抗生物質を使いますが、それ以外は整腸剤などを使うのみです。
抗生物質は早めにやめます。使い続けると菌が腸からいなくなる期間が長くなるといわれているからです。
症状が強い場合は絶食にして、輸液などを行います。入院が必要なこともあります。

食事
下痢が激しいときは、水分だけにします。お茶、ポカリスゥエット、おもゆなど。
少し便が良くなったら、便と同じ固さのものを少量ずつあげます。
乳製品、冷たいもの、油で揚げたもの、繊維の多いものは避けます。

注意すること
生のものは食べないこと。特に卵はできるだけ生では食べないこと。
食事の前にはかならずきちんと手を洗う習慣にします。
また、動物などにさわったあとは特に手をよく洗いましょう。
便が良くなっても便の培養で2回菌が陰性になるまで検査を行っておきましょう。 いつまで経っても菌が便から出てくることがあります。保菌者という状況です。この場合、感染源になることがあるので、便の処理など気をつける必要があります。


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