食細胞機能異常症


食細胞機能異常症とは
血液中の白血球の中の好中球という細胞は細菌、真菌などの異物を処理します。好中球の数や質の異常は小児の難治性の反復感染や発熱の原因として重要です。好中球の機能は遊走能(接近する)、接着能(くっつく)、貪食殺菌能(食べて殺す)が分けられます。

1.好中球の量の異常
@周期性好中球減少症
 約21日周期で血液中の好中球が減少するものです。500/μl以下となります。
約2/3が家族性で常染色体異常で起こります。

A重症先天性好中球減少症(severe congenital neutropenia SCN) Kostmann症候群
 常染色体劣性遺伝の疾患で骨髄での骨髄球の成熟が前骨髄球の段階で停止しているものです。
BShwachmenn-Diamond症候群
膵外分泌不全、骨形成不全、骨髄低形成を特徴とする常染色体劣性遺伝疾患です。

1.好中球の質の異常
@遊走能の異常 
 C3欠損症、C5欠損症 補体のC5aは強い遊走活性を持っているので、C5aを作れないC3欠損症、C5欠損症では好中球の遊走能が傷害されます。
A接着能の異常
 白血球粘着不全症(Leukocyte adhesion deficiency:LAD)
 白血球が炎症部位へ遊走していくとき白血球と血管内皮細胞の間にローリングと接着という現象があり、LADタイプ1と2があり、接着障害を起こします。タイプ1は常染色劣性遺伝によるものです。

B殺菌能の異常
 a)酵素依存性殺菌能の異常 慢性肉芽腫症(Chronic granulomatous disease:CGD)
食細胞が貪食殺菌するとき急激な酵素消費が起こり、活性酸素が産生されます。最初に産生されるのが、O2(スーパーオキサイドアニオン)でこれは食細胞内で過酸化水素へと変化します。過酸化水素はミエロペルオキシダーゼ(MAO)の触媒により、塩素イオンから耳亜塩素酸(HCIO)を生じ、O2と過酸化水素からヒドロキシラジカルが、またHCIOと過酸化水素から一重項酸素が生じる。CGDはこれらの活性酸素種を産生できないため、カタラーゼ陽性細菌や真菌を殺菌できない先天性の免疫不全で活性酸素の産生反応を触媒する酵素NADPHオキシダーゼを構成する5つのタンパク質のうち、phoxタンパク質のいずれか1つの欠損または機能異常を示します。

 b)アズール顆粒、特殊顆粒の形成や機能異常
  MPO欠損症 MPOはアズール顆粒中の塩基性のライソゾーム酵素で、食細胞が細菌などを貪食したとき、食胞中に放出されます。

C好中球細胞骨格異常症

症状
乳児期に始まる反復性の重症感染症を起こしてきます。
疾患によっては細菌のみならずウイルス、真菌にも感染を繰り返します。

治療
細菌感染症に対しては強力な抗生物質の投与を行います。
好中球減少症では、G−CSFの投与を行います。CGDでは抗生物質の合剤である、ST合剤の予防投与を行います。 一般的には白血球数、その中の好中球、リンパ球の数、免疫グロブリン量でしょう。これはリンパ球の中のB細胞の分化障害や機能障害によって起こる抗体産生能力がないために易感染性(感染しやすいこと)が起こります。また好中球の数だけではなくて、働き(白血球が炎症部位に移動するとき、これを遊走といいます)が悪い場合、あるいは炎症部に接着しない場合、また殺菌能が異常な場合など様々なものがあります。このようなものを食細胞機能異常症といいます。この臨床症状は乳児期に始まる重症感染症を繰り返す。これらはとても

予後
MPO欠損症では、易感染性を起こさず、予防や治療を必要とせず、予後も良いようです。その他の疾患では感染のコントロールが予後を左右します。今後、造血肝細胞の精製や増幅の技術が進歩すれば、移植や遺伝子治療による治癒の可能性が高くなると考えられています。
(文献 20 250-251)

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