筋ジストロフィー MD


遺伝的欠失による壊死変性疾患です。病型により症状の出現時期、進行速度や予後が異なります。
デュシェンヌ型およびベッカー型ジストロフィー

原因
 伴性劣性遺伝病で筋肉の生理的機能維持に不可欠のジストロフィンが欠損するため、筋の非炎症性崩壊が起る疾患です。

症状
デュシェンヌ型(DMD)では一人歩きが遅くなり、転びやすい、走ることが遅いなどで気づかれます。(1〜3歳)。一部に軽い知能障害を認めます。腰部、続いて肩甲部周囲の筋肉が侵され、誹腹筋は仮性肥大(膨らんで大きくなる)します。爪先歩行や動揺性歩行がみられ、5歳頃以降は立ち上がるときに自分の膝に手をついてよじ登る動作(登はん性起立)がみられるようになります。

診断
筋由来の酵素、クレアチニンキナーゼ(CK、CPK)が著増します。筋生検を行い遺伝子異常を検索して確定診断します。

経過・予後
常に進行性であり発症10年で歩行不能となります。 20歳以前に呼吸器感染症などで死亡することが多いといわれていましたが,最近は非侵襲的人工呼吸管理の進歩により30歳前後まで生存できる症例も増えてきています。
ベッカー型(BMD)はDMDより経過が良く,40歳代以上まで生存が可能で発病の平均も10歳頃です。
初発症状は,走るのが下手,筋肉痛などです。

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
  優性遺伝病で,10〜20歳頃に筋力低下で受診する。顔面,肩甲,上腕部の筋が対称的に侵されます、進行は緩徐です。

福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)
  常染色体劣性の遺伝病で、日本ではDMDに次いで多く、出生時から1歳までにfloppy infantとして発病し、筋力低下や関節拘縮、知能障害を認めます。乳児期に呼吸障害を認めることはありませんが、哺乳量は弱く、体重増加不良を示すことが多いです。
  てんかんを伴うこともあります。
  4歳から8歳頃に最高運動到達機能として、座位保持や坐位での移動が可能となります。10歳を超えると次第に坐位に支持が必要になり、運動機能の喪失が認められます。
  
  フロッピーインファントとして仰臥位で四肢はだらんとして開排し、蛙足肢位(frog-legposture)をとります。重力に対して四肢特に大腿や上腕などの近位筋を動かすことが困難です。手や足の遠位筋を動かす方が可能です。足の裏を刺激しても逃避反応や抗重力の動きが悪いです。
  立ち上がるときに、スムーズに立ち上がることはできず、腎部、膝に手をあてて立つスタイルになります。これをガワーズ徴候といいます。

その他の筋肉疾患
重症筋無力症
病態・症状
 神経・筋接合邦の刺激伝達が自己抗体である抗アセチルコリン受容 体抗体によって障害され,骨格筋の易疲労性をきたす疾患です。
女性に多く、 小児では5歳以下に多いです。小児では一般に全身型は少なく、多くは眼瞼下垂に斜視、複視を伴う眼筋型で、特に午後に悪化する筋易疲労性が特徴です。
全身型や、嚥下障害、構音障害をきたす球麻痺型は少ないのですが、潜在的全身型も多いとされています。
このほか、重症筋無力症の母親より出生した児に抗体移行による一過性の筋無力症(哺乳力低下、微弱啼江、呼吸障害)がみられます。
診断・治療
 抗コリンエステラーゼ薬静注(テンシロンテスト)で即効性の臨床症状改善が得られることや、反復筋電図検査などにより診断されます。
治療では坑コリンエステラーゼ薬、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤などが用いられます。

筋肉関係疾患
脊髄性筋萎縮症
 脊髄性筋萎縮症とは,脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)の病変によって起こる神経原性の進行性運動ニューロン病で、体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮を進行性に出現してきます。
小児期に発症するI型:重症型(ウェルドニッヒ・ホフマン:Werdnig-Hoffmann病),II型:中間型(デュボビッツ:Dubowitz病),III型:軽症型(クーゲルベルグ・ウェランダー:Kugelberg-Welander病)と,成人期 に発症するIV型に分類されています。

メモ
※乳児期のhypotonus
  Weldnich-Hoffman disease
 脳性
中胚葉性異常
   Marfan Syndrome
Ehlers-Danlos syndrome
先天性靭帯弛緩症
 筋疾患
 Dernatochalasis(皮膚弛緩症)
  皮膚が弛緩し、皺壁を形成し、引っ張るとたしょう伸びるが、元に返せばまた皺をつくる。
(文献 6)

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