せつ(furuncle)


毛嚢(もうのう)および毛嚢周囲性の限局性細菌感染症で、膿瘍を形成し、炎症が皮下組織にまで及びます。顔面のせつを面疔と呼びます。毛嚢炎、せつ、腫れ物が多発、追発するするものがせつ腫症と呼びます。
いずれの年齢層にもみられます、男性にやや多く、温暖な時期が多くみられます。
せつは毛嚢一致性で、炎症が毛嚢深部まで及んだ円錐状の、局所熱感のある有痛性紅色結節です。
大きくなると頂点に膿疱(膿栓結成)を生じ、次第に軟化して波動を触れ(膿瘍形成)、頂点から排膿し、壊死に陥った芯が排出されて治癒に向かいます。
頚部、肩、臀部、大腿部に好発。

原因
黄色ブドウ球菌、時に表皮ブドウ球菌が感染。
組織学的には、1個の毛嚢を中心とした限局性の多核白血球、核塵、フィブリン、壊死組織などからなる膿瘍で、周囲は形質細胞、リンパ球主体の炎症細胞浸潤に移行していきます。
せつは深在性毛嚢炎と区別し得ないことがあります。感染粉瘤では表皮成分からなる嚢腫が先行します。

治療
@ 黄色ブドウ球菌に感受性のある抗生剤内服と軟膏塗布
A 波動を触れたら切開排膿。
※ぬり薬だけではなかなか直りません。必ず抗生剤を飲んで治しましょう。
※鼻の穴の内側にこの菌はたくさんいて、そこから病気が始まることが多いのです。細菌培養を行い保菌状態があれば除菌する可能性があります。
※せつ腫症:結構よく見られます。

補)
MRSAに対する抗生物質  クラブラン酸カリウム/アモキシシリン製剤(クラバモックス)とホスホマイシンの併用、ミノサイクリンなど。
抗生剤の軟膏
フジシン酸ナトリウム(フシジン)、塩酸オキシテトラサイクリン・ヒドロコルチゾン軟膏、アクアチム(ナジフロキサシン)などを交代で使用するのがよい。

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