isi 結節性紅斑

結節性紅斑


結節性紅斑とは
主に下腿の伸側に生じる痛みを伴う紅色結節を主徴とする急性炎症性疾患です。組織学的には皮下脂肪を主な炎症の場所とする脂肪織炎です。
原因はさまざまで、一つの独立した疾患であるというよりは、皮膚に現れた症候の一つと考えられています。
罹患率は10万人あたり1〜5人といわれ、比較的若い女性に多いようです。

原因
何らかの原因あるいは免疫複合体によって起こされた過敏反応が脂肪組織で生じることによって発症することが考えられています。
原因不明のものが半分以上を占めます。
原因が明らかのものでは、溶連菌などの細菌感染が最も多いと思われ、また、結核やウイルス感染(特に小児)のほか、様々な感染症を起因として発症した例が報告されています。
Behcet 病や Sweet病などの好中球の活性化を伴う疾患、サルコイドージズ、潰瘍性大腸炎や Crone病などの炎症性腸疾患、白血病を含む悪性腫瘍、関節リウマチそのほかの自己免疫疾患が結節性紅斑の原因として考えられています。

症状
1)鶏卵大程度の境界不鮮明で、浮腫状の圧痛を伴い、皮下に硬結を触れる紅斑がみられます。下肢伸側を中心に出現します。
2)皮疹は融合して大きな斑を形成することもあり、赤紫色を呈するようになります。新旧の皮疹が混在してみられることもあります。
3)咽頭痛や全身倦怠感や関節痛などの全身症状が先行または合併することが多いです。

診断
臨床的に診断します。
診断確定のために皮膚生検による病理組織学的検討を行うこともあります。
発症の約2週間前に咽頭炎や扁桃腺炎などにかかったことがあれば参考になります。
病変の主体はリンパ球や組織球浸潤を伴う炎症が小葉間線維性隔壁に見られます。
血液検査でCRPの上昇や白血球の増加、赤沈の亢進などの炎症症状がみられます。
溶連菌の抗体が陽性になることもあります。

治療
原因に応じた治療と対症療法を行います。
軽症の場合は局所の冷湿布と安静と下肢の挙上などで様子を見て良いでしょう。
全身症状が強い場合は入院等考慮します。
疼痛に対しては非ステロイド抗炎症薬を使用します。
ヨウ化カリウム(※)の内服は皮疹の疼痛や熱感、関節痛などに対して速やかな効果が期待できるので、全身症状が強い場合は使用します。使用量600〜900mg/日
発熱や関節痛などの全身症状が強く、感染症が否定された場合は副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン 15〜30mg/日程度)を使用します。
典型的な急性結節性紅斑の場合、個疹の経過は2〜4週間で、軽い色素沈着を残して消退します。
6ヶ月以上続くものでは暗赤色ないし赤紫色の境界明瞭な硬い結節が単発ないし数個、下腿に好発し時に瘢痕を残します。
特に治療に抵抗する場合や慢性的に皮疹が出現する場合は基礎疾患の存在を念頭に置き精査する必要があります。

※成人での投与量で小児では決まっていない。甲状腺機能に異常がないか確認が必要。
(文献 14 49)

※院長通信
めったに見ることはありませんね。医者になって数例程度の経験です。重症例は全くなかったです。それらは跡形もなく治癒しました。昔は結核をまずはチェックをしていました。
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