ウイルス性結膜炎


かぜなどに伴って子どもは目やにを出します。ほとんどはウイルスや細菌の感染で結膜が腫れ、結膜の充血が見られます。以下、眼科の先生に診療を受けますが、眼科の教科書から、お示しします。
症状
目やに、涙が多いといった症状で始まります。目やにより涙が多く流れるのが著明で、眼瞼が少し腫れ、一見うるんだような眼をしています。アレルギー性結膜炎との鑑別が時に難しいそうです。アレルギー性結膜炎ではかゆみがあること、ウイルス性では耳前リンパ腺(耳の前にあるリンパ腺)が腫れ、圧痛があることが症状所見からの鑑別点です。
分泌物の検査をすると、ウイルスでは単核細胞が多くみられ、アレルギーでは好酸球がみられます。
以下代表的な結膜炎をご紹介します。

1.急性出血性結膜炎(AHC)
片眼発症後、1日以内に他眼に発症します。発症時眼痛があるため、中学生くらいになると昨日の何時からというように発症時間をいえるのが特徴です。
目やに、流涙が著明で、球結膜に出血を伴うことがあります。

2.流行性角結膜炎(EKC)
アデノウイルスによる結膜炎で、伝染力が強く学校や幼稚園、保育園で大流行することがあります。結膜の強い充血と混濁、耳前リンパ腺の腫脹、圧痛が特徴です。乳幼児期までは偽膜をつくりやすく、偽膜除去が必要です。目を開くのが困難なことがあり、この場合、角膜に異常がないか注意して経過を見る必要があります。乳幼児ではいろいろな細菌(緑膿菌や溶連菌)の感染予防に抗生物質の点眼を併用します。

3.咽頭結膜熱(PCF)
アデノウイルスというウイルスが感染して起こる病気です。高く長く続く高熱と結膜炎を起こします。このとき強い咽頭炎があります。→咽頭結膜熱

4.風しん性結膜炎
風しんの皮疹が消える頃、結膜の軽度の充血を認めることがあります。

5.水痘による結膜炎
水痘にかかったとき、軽度の結膜炎が起こることがあります。

治療
抗生物質点眼液1日4〜5回で経過をみ、耳前リンパ腺腫脹や全身症状が強ければそれに応じて、抗生剤の全身投与を追加します。

(矢野啓子:子どもの結膜炎.小児科診療 60:2019-2022、1997)

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