チャドクガ  Euproctis pseudoconspersa  tea tussock moth 


 チャドクガは茶の害虫として、幼虫はツバキ、サザンカ、茶などのツバキ科の食物の葉を食べます。
 成虫は年2回、6〜7月頃と10月に出現します。卵で越冬市、幼虫は5〜6月と8〜9月に出現します。若齢幼虫は群生するが終齢幼虫は分散します。 終齢幼虫は体長25mmになり、市街地の公園や庭に植栽されたツバキ、サザンカで見られることが多いのですが、山間部では少ないです。毒牙類の中では最も被害を受ける機会の多い種類で幼虫による被害が多いです。

有毒毛
肉眼で見られる長い毛には毒はありません。有毒毛は幼虫の黒い隆起部に群生している長さ0.1mm前後の毒針毛で終齢幼虫では30〜50万本が密生しており、皮膚や衣類に触れると容易に脱落します。
毒針毛は幼虫だけではなく卵や繭(まゆ)の表面、雌成虫の尾端部にも存在しますが、肉眼では見えないので気づかないうちに皮膚に触れて突き刺さり、皮膚炎を起こします。葉や枝に残った幼虫の脱皮殻にも毒針毛が残存しているので、冬でも植木の手入れの歳に被害を受けることがあります。

症状
症状は通常、庭仕事や公園の植え込みなどでの作業のあとに生じますが、毛虫に触れたことに気づかない症例が多いです。
臨床的には首に頸部や上肢に激しい掻痒を伴う多数の膨疹、あるいは紅色丘疹が孤立性に存在し、掻爬(そうは)に伴って次第に増加します。 皮疹の分布は左右非対称で、集簇して見られる部位と、散在性に見られる部位があるのが特徴です。 皮膚症状は毒針毛に含まれる毒成分に対するアレルギー反応であり、毒針毛に触れてすぐに出現する膨疹(即時型反応)と1〜2日後に出現する丘疹(遅延型反応)に分けられます。個々の感作状態によって症状には個人差がありますが、炎症反応は概ね2週間以内に軽快します。

治療
皮疹に対しては強いランクのステロイド外用薬を塗布し、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬内服、炎症反応が強く、範囲が広い場合はステロイド内服薬を短期間(数日〜7日)併用します。

院長通信
6月頃から結構患者さんが出てきます。どちらかの腕など本当にたくさんの炎症を起こした場所が出てきます。良くなるのも時間がかかりますね。

(文献 69 p110)

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