喘息様気管支炎


喘息様気管支炎とは
気管支炎の一種です。かぜのウイルスなどの病原体が感染して、気管支炎を起こし、気管支の粘膜がはれ、そのために息を吐くときにその細い部分を通って空気を送り出すことによって、ゼイゼイやヒーヒーいう音が聞こえます。これは気管支喘息の時に出る喘鳴と同様の音ですので、この名前が付けられています。気管の径が細くなることによって起こりますが、細くなっている場所によって、音質が違います。ある程度広いところから出る音はゼイゼイ、細い気管支から出る音はヒーヒーと聞こえます。
分泌液が多くなり痰となり、咳をして体外に出そうとします。発熱、咳、痰、鼻汁など風邪症状も出ます。咳き込んで吐きそうになったり、実際に吐くこともあります。呼吸が苦しくなることもかなりあります。小さい赤ちゃんではミルクまたはお乳が飲めなくなり、入院が必要になることもあります。

原因
かぜ症候群の病原体であるウイルスや細菌、マイコプラズマやクラミジアといった病原体が感染がきっかけとなります。
アレルギー素因のある子どもが起こしてきやすいと考えられます。

症状
鼻水や咳、発熱などかぜ症状があり、咳がひどくなります。痰が絡み、せき込むようになります。高熱がでることもあります。息を吐くときに出る喘鳴(ゼーゼー、ヒーヒー)が聞こえます。聴診でしか聞こえない場合もあります。そのため呼吸が速く、苦しそうになります。

診断
症状と聴診所見で診断します。胸部レントゲン写真では肺全体が広がって見えることがあります。息を吐きにくくなるため、肺から空気が出にくくなるのです。気管支の周囲がはれて見えることもあります。
気管支喘息との違いが問題になります。家族のアレルギー歴や、気管支の聴診所見、呼気が伸びているかどうか、気管支拡張剤の吸入に良く反応するかどうか(吸入後に喘鳴が消えたり、良くなったりする場合は気管支喘息の可能性が高いということになります)などを見て診断します。
3歳以上の子どもに喘鳴があれば喘息そのものの可能性が高いことになります。年齢が大きい子どもたちは気管支の径は大きいために、気管支の平滑筋という気管支の周囲にある筋肉が収縮して、気管支を絞り上げるため内腔が細くなり、そのためにはじめて喘鳴が出るからです。

治療
安静にして、水分をしっかり取りましょう。
去痰剤、気管支拡張剤を投与します。強い咳止めはよくありません。咳を止めてしまうと、気管支の中にある痰が出にくくなるからです。
抗生剤の使用についてはいろいろな意見がありますが、痰が絡んで、咳がひどいときには私は使用します。
呼吸が速く、咳込みや喘鳴が強いときには入院治療が必要になります。
小さい赤ちゃんではさらに哺乳力が落ちてしまいますので、入院治療が必要になることが多くなります。輸液をし、輸液中に抗生剤などを入れます。1週間ほどでだいたい治りますが、なかなか治らないこともあります。病原体の強さや、そのときの体の状態、抵抗力、お薬の効き方が違うので、経過は変わります。

治療後のこと
治癒すれば普通生活ができます。
お風呂は熱が下がり、ひどい咳がなくなったら入っていいでしょう。

家庭での注意
水分は多めに与えましょう。部屋もできるだけ湿度を上げておきましょう。加湿器があれば使います。なければ洗濯物を干したり、洗面器に水を張っておくなど工夫してください。
小さな子どもで急に元気がなくなり、母乳やミルクを飲まなくなり、呼吸が早く、苦しそうなときは早めに診察を受けて下さい。

予防
かぜがきっかけで、気管支炎になり、そのまま喘鳴がでてくる場合が多いので、かぜをひかないように気をつけましょう。 気管支喘息との関係が問題になります。0歳の頃から喘鳴がしょっちゅう出てくるようなら喘息を発症してくる可能性が大です。
乳児時期の喘息を喘息様気管支炎といわれていることもあります。
繰り返す傾向が強い子どもや喘鳴の程度がひどい子、吸入に良く反応する子、気管支喘息以外のアレルギー歴がある子は喘息に近いと考えられます。この場合将来気管支喘息を起こしてくる傾向が高いです。
気管支喘息の予防を参考にしてください。


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