チャドクガ


 庭師の方に剪定をお願いしましたところ、大きめの椿の葉にたくさんのチャドクガの幼虫がいて、その中の一人若い庭師さんがその毛針に刺されて、全身に蕁麻疹が出て、大変なことになりました。部分的に複数の場所を刺されていたのですが、全身の反応がとても強かったようです。患者さんでも時に複数の固まりに刺された後がある場合はチャドクガのことがあります。 とてもかゆいようです。

以下、ホームページ「ようこそ昆虫科学館へ」より

 ドクガ科。本州以南の日本各地に分布。名前のとおりチャの害虫として知られていますが、同じツバキ科のツバキやサザンカでもよく大発生します。この毛虫の発生が庭木としてのツバキやサザンカの最大の欠点とすらいえるほど、近年都市部でもっとも問題の大きい毛虫です。
 幼虫は生育の全期間を通じて集団で生活し、成長すると体長が25mmほどになります。ツバキやサザンカの葉に毛虫が群がっていたら、まずこの毛虫と考えて間違いありません。人を刺すのは目立って長い毛ではなく、からだ中に50万本もある微細な毒針毛です。毒針毛は幼虫が脱いだ皮(脱皮殻)にも長い間残りますので、冬に樹を剪定しても刺されることがあります。
 年2回発生し、葉の裏に生みつけられた卵塊(黄色の毛玉状)で越冬し、幼虫は5月のゴールデンウイークのころの孵化します。幼虫は頭を並べて集団で葉を食べますが、冬のうちにたんねんに卵塊をさがして除去したり、幼虫のまだ小さいうちに葉を切り取って踏みつぶすのが家庭では効果的な防除法です。幼虫が大きくなると集団がいくつにも分かれ、被害が樹全体に及び、除去は危険です。ただし、たいていの家庭用殺虫剤は、ほとんどの庭の毛虫に効果があります。6〜7月ころに成虫が羽化して、また産卵し、8〜9月に2回目の幼虫が発生します。それが成長して9〜10月に羽化した2回目の成虫が生んだ卵が越冬します。 幼虫がサナギになるとその表面やマユに毒針毛がベタベタついていますし、雌成虫は羽化すると腹の先に毒針毛をまとめてつけて飛びたち、それを卵塊になすりつけます。このためチャドクガは、幼虫ばかりでなく脱皮殻やサナギや成虫や、卵まで人を刺します。写真のように、2cmくらいの大きさで、翅の先に2個の小さい黒点のある黄色っぽいガが家の中に飛んできたら注意して下さい。絶対に直接さわらずにびんなどで捕らえるようにします。

刺されたときの治療
 チャドクガの毒性は次のドクガよりはやや弱いものの、刺されるといつまでも激しいかゆみが残り、それが2〜3週間も続きます。また、刺されたときの痛みはほとんどなく、あとからヒリヒリした痛みと強いかゆみでそれとわかるのでやっかいです。この毛虫に刺されたとわかったときは、その場所にセロハンテープを貼って毒針毛を取り、そのあと長く流水で洗い流すのがよく、手でこすったり掻いたりするのは最悪です。 抗ヒスタミン含有のステロイド軟膏を塗り、症状がひどければ抗ヒスタミン剤を内服します。何度も刺されるとアレルギー症状を起こし、全身に症状が見られることもあります。
(2002.9.18 「ようこそ昆虫科学館へ」梅谷献二氏のホームページより:http://www.afftis.or.jp/konchu/index.html) 

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